ひびこれよきひ

日々の生活の中のちょっとした発見や旅先でのことなどを書いていきたいと思います。

屋久島旅行 〜 3日目 白谷雲水峡 〜

いよいよ屋久島の旅も3日目。昨日の縄文杉トレッキングで足が少し痛いものの、思ったよりも元気な感じ。案外、自分の体って丈夫なもんだ。


今日の屋久島は朝から晴れまくっている。日差しが痛いくらい。昨日の雨は一体何だったんだー!?


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バス停に向かう途中、通りがかりの人と挨拶していると、何だか自分が屋久島に住んでる気になってくる。中学生くらいの子でもちゃんと挨拶してくれるし、屋久島の人は本当にフレンドリーだ。


今日は縄文杉と並ぶ屋久島の観光名所、白谷雲水峡に行く予定。後はあんまり考えてないけど、温泉でも行こうかな?屋久島は意外にも温泉が多くて、温泉巡りも出来ちゃうのだ。


安房からバスに乗り、まずは宮之浦へと向かう。その間、バスの運転手さんと話す。バスの運転手さんは気さくな人で、何でも答えてくれる。他の観光客らしい人たちにも挨拶していたし、屋久島のバスは観光客との距離が近い感じだ。


宮之浦港から白谷雲水峡行きのバスに乗り換える。隣に座っている人に話しかけてみた。使い込んだ大きなザックを担いでいて、いかにも旅慣れている感じだ。明日縄文杉に行くそうで、僕も昨日行った話をした。

「もっと大変かと思ってたら案外、行けるもんですよ。」

とか、ちょっと経験者ぶってみる。


バスはまたどんどん上へ上へと上がって行く。抜けるような青空と海が眼下に開け、手前には宮之浦の町も見える。いい景色だなあ。


30分ほどで白谷雲水峡の入り口に着いた。


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早速、白谷雲水峡にチャレンジ!


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一口に白谷雲水峡と言っても、実は大きく分けて3つのコースに分かれている。弥生杉コース、奉行杉コース、太鼓岩往復コースの3つだ。3つのコースはそれぞれ独立していて、時間に合わせて選ぶことができる。例えば少ししか時間がないなら、弥生杉コースにある弥生杉だけを見に行くという感じだ。


だけど、この白谷雲水峡のメインはやっぱり太鼓岩コースにある太鼓岩と苔むす森だ。どちらもスタジオジブリの人たちがもののけ姫を作る際に参考にした場所で、実際に映画にも出てくる。


んー、行けなくもないし、奉行杉コース通って、そのまま太鼓岩と苔むす森見に行っちゃおうかな?


白谷雲水峡は半日くらいあれば十分見れるとネットにも書かれていたし、軽く考えて先に進む。


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二代杉は切り株の上にまた木が生えてきたもので、屋久島にはこういう木も多いそうだ。この二代杉から奉行コースかあ。ん?でもこれどこが道なんやろ?


よく分からなかったので、向こうからきた人に聞いてみる。

「私もよく分かりませんけど、この先もコースがあるっぽいですよ?」

じゃあ、やっぱりこっちで合ってそうやな。ん?でも、コースがあるっぽいって??何だか悪い予感がするぞ。


奉行杉コースらしき道を行くと、いきなり急な斜面が続く。あまり道も整備されておらず、まさに山道を歩いてる感じだ。コースもはっきりとはわからない。唯一木の枝にピンクのリボンが結んであって、正しい道を教えてくれている。


これはキツイ。どうりで人が少ない訳だ。さっきの人もきっとこのコースを見て諦めたに違いない。


このコースを選んだことを少し後悔したけれど、もう乗り掛かった船だ。頑張るしかない。とは言うものの坂は急峻だし、昨日の雨で川の水が増水していて渡るのも大変だし、昨日の縄文杉よりもよほど大変やーん!


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暑さと疲れでダウン寸前の僕を助けてくれたのは、白谷雲水峡の水だった。


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そこら中に水が溢れ出ている。水は澄んでいて美しく、ひんやりと冷たい。手をつけただけでも、冷たさが伝わってくる。水をすくって飲むと、しばし暑さも忘れる。


ようやく奉行杉コースを抜け、太鼓岩コースに出た。その途端、人がどっと増えた。みんなこっちのコース通ってたのか!そりゃ太鼓岩とか見に行くだけなら、わざわざ奉行杉コース通らなくても、真っ直ぐに来た方が早いもんなー。


かなり疲れもピークに来ていたけれど、人が増えると元気も出てきた。ゴールの太鼓岩も近づいてきたし、あともう少し頑張ろう!


太鼓岩に行く途中、苔むす森が見えてきた。「すごい!」思わず声が出た。


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この一帯は特に苔が多くて、神秘的な風景が広がっている。これは確かにもののけたちも出てきそうだ。


苔むす森を抜けると、ちょっと広い場所に出た。ベンチも幾つもあって、休息所になっている。他のグループの人たちはここで昼ご飯を食べ、最後の太鼓岩へのアタックに備えているようだ。


僕はまだ少し余力があったので、ここで一気に太鼓岩を目指すことにする。太鼓岩までは標高がぐんと上がるらしく、急峻な坂道だ。息が切れて汗が吹き出る。時折短い休憩も入れながら、太鼓岩を目指す。


人の声が聞こえてきた。山頂が近づいている。やがて視界が開け、太鼓岩に出た。


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太鼓岩は巨大な岩で、その上に乗ると全てが見渡せる感じだ。とても美しい。絶景というのはこういうことを言うんだなと思った。


もののけ姫ではサンとオオカミの一族がこの岩に座って下を見下ろしている。確かにここからだと下の様子がよく分かるだろうな。


あまりの美しさにしばし見惚れた。

しばらくすると、雲が辺りを覆い始めた。ここは雲の上なのだ。それを機に僕は太鼓岩を降り始めた。


帰りは太鼓岩コースを通って帰ることにした。確かにこっちの方が早い。楠川歩道とも言われていて、江戸時代に木を伐採して運んだ道なのだそうだ。帰りは足も軽くなり、足早に道を進んで行く。


やがて白谷雲水峡のスタート地点に戻ってきた。そこから宮之浦まで帰る。もう疲れ果てていたので宮之浦のスーパーでお弁当やお茶を買い、今日泊まる宿に向かうことにした。


今日泊まる宿は宮之浦や安房と言った町にあるのではなく、さらに南の方にあるゲストハウスだ。


バスに乗って、運転手さんに宿の近くのバス停まで行けるかどうかを聞こうとすると、

「あ、今朝も。」

と、にこやかに挨拶してくれた。朝いろいろ教えてくれた運転手さんだった。顔馴染みになったようで、何だか嬉しい。


一時間程、バスに揺られて宿の最寄りのバス停に着いた。そこは民家も何もない場所で少し不安になる。看板があったのでそれに従って進む。


本当こんなとこに宿があるのか?と不安になる頃にゲストハウスが見えてきた。山の麓にあって近くに川も流れている自然豊かなところだ。


宿はまだ新しいようで木の匂いがする。部屋もとても綺麗で、何だか嬉しくなった。

「昨日までは外人さんがたくさん泊まってたんだけどね、今日はこの部屋はもう一人日本人の人がいるだけだよ。」

と宿の人が教えてくれた。確かに僕の近くのベッドには沢山の荷物があった。まだ帰ってないらしい。後で挨拶しよっと。


とりあえずお風呂に入ることにする。トレッキングの後はお風呂は必須だなあ。


汗を流してすっきりすると、今度はお腹が減ってきた。共同で使える部屋があるので、そっちの方でお弁当を食べることにする。


BSしか映らないテレビを見ながら、のんびりお弁当を食べる。美味しいなー。


しばらくすると一人の男性が帰ってきた。宿の人と話している顔を見ると、、、あ!今朝バスで話した人だ!それも、どうやら僕と同室らしい。不思議な事も3度も続くと、驚くというよりも感心する。この屋久島ではきっと何でも起こるのだ。


挨拶をすると向こうも驚いたようだ。そりゃそうだ。彼は荷物を置きに行き、夕食を片手に戻ってきた。2人でご飯を食べながらのんびり話し始めた。


彼は昨日からここに泊まっているらしく、昨日は同じ部屋にいた外人さんに誘われて、ウミガメが卵を産むのを見に行ったそうだ。それもレンタルした自転車で。ここからウミガメがいる浜まで20キロくらいはある。着いた時はもう夜中だったそうだ。

「運良く卵を産むのを見れましたよ!」

ふらふらの状態で宿に帰り、寝不足で白谷雲水峡に向かう途中、バスで僕に出会ったという訳だ。


別に登山が好きというわけではなく、行きたいと思うところに行っているらしい。

「沖縄の離島もすごく良かったですよ。」

と勧めてくれた。次の目標は富士山に登ること、と楽しそうに話してくれた。


ゲストハウスではいろんな人に出会う。彼とはもう会う事はないかもしれないけれど、2人でお弁当をつつきながら語り合った屋久島の夜を僕はきっと忘れない。


彼は次の日に縄文杉に行くそうで、早々に部屋に戻って行った。


同じ部屋で眠るけど、僕が起きた時、彼はもう縄文杉へ向かっていてここにはいない。何だか奇妙な感じもするけれど、それもきっと屋久島らしい。