ひびこれよきひ

日々の生活の中のちょっとした発見や旅先でのことなどを書いていきたいと思います。

屋久島旅行 〜 2日目 縄文杉を目指せ! 後半 〜

縄文杉トレッキングのスタート地点は昔のトロッコ電車の発着点だ。これからこの線路を四時間くらい歩くことになる。


歩き始めると思いの外激しい雨で、線路は所々冠水している。濡れないように線路の枕木を上手くバランスをとりながら渡っていくんだけど、歩きにくいことこの上ない。時々、水たまりにはまることがあって、開始早々に靴を濡らすことになった。


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どうも歩くスピードが僕は少し早いようで、いろいろなグループを追い抜いていく。女の人二人のグループ、ガイドに率いられたグループ、外国の人のグループ等々。狭い道なんだけど、後ろから早い人が来るとみんな「先にどうぞ!」と快く譲ってくれる。どこでもそうなんだけど、山登りをする人は本当に良い人ばかりだ。


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途中、こんな橋もあったりするんだけど、雨風もすごいしちょっと怖い。


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川も完全に濁流状態。落ちたら間違いなく死ぬな、俺・・・。もはやトレッキングというよりもちょっとしたアドベンチャーになってきたし。


1時間ちょっと歩くと、昔の学校跡に着いた。


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昭和40年代まで、ここには材木を伐採して生計を立てていた人たちが村を作って住んでいた。小中学校まであって、当時の賑わいが感じられる。やがて自然保護の声の高まりから、伐採が禁止されるようになり、村はなくなることになった。


しかし、その村の人たちが伐採の仕事に使っていたトロッコ電車の線路を、今度は僕たちがトレッキングに使っている。何だか不思議な話だ。


さらにこの線路沿いには昔、江戸時代に薩摩藩の命令で木を伐採したという跡も残っている。この道はいろいろな人たちの思いが詰まった歴史ある道なのだ。


感慨にふけりながら、黙々と歩いて行くと、いつの間にか大株歩道入口に着いた。トロッコ道はここで終わり、いよいよ本格的な登りになる。


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ここには最後のトイレがある。この先、縄文杉まではもうトイレがないので、ちょっと行っておくことにする。


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え!?なんだこの行列!まさかのトイレ行列にびっくり。もうやめておこうかと思ったけど、この行列は女の人の方らしく、男子トイレはすぐに入れた。


他の人の話を聞いてると、繁忙期には女の人は1時間くらい待たなくちゃいけないらしい。トイレはここまでにもう一、二カ所あるので、特に女の人は途中で済ませてしまった方がいいかも。


これからの山登りに備えて、カロリーメイトを少し食べる。やっぱり食べると元気出るなあ。食べるということはエネルギーを取ることなんだと実感する。


ちょっと元気も出てきたし、頑張って大株歩道歩きますか!


いろいろなガイドの人が「ここからが本番ですよ!」とグループの人たちに発破をかけているのを横目に、僕は一人登り始めた。


傾斜があって、今までの道程とは比べものにならないくらいキツイ。さすが本番!でも、山道ながら、それなりに整備されているので登りやすい。


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しばらく登っていくと、多くの巨木や名のある木々が現れてきた。いよいよ屋久島らしい場所に足を踏み入れてきたことを感じる。1000年以上経ったものでないと屋久杉とは言わないそうで、悠久の時間がここには流れてきたのだ。


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多くの木々の中で僕が特に心惹かれたのはウィルソン株だ。ウィルソン株は400年以上前に伐採された切り株だ。


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中は空洞になっていて入ることができる。中には水が溜まっていて、見上げると面白い形をしている。ハートの形に見えると言うので有名らしいんだけど、僕が登りの時に撮った時は星の形のようになった。どうも撮る場所によって形が変わるらしい。


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人が多くなってきたので、また後でもう一度来ようっと。


ウィルソン株を後にして、僕はまた登り始めた。もう縄文杉は大分近くなってきたみたい。案内板があるので、自分の今の位置を常に知ることができる。道がきちんと整備されていたり、携帯トイレ用のテントが張られていたりと、所々に地元の人たちの思いが感じられる。


アップダウンを繰り返し、いよいよ縄文杉が近くなってきた。


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途中、鹿に出会った。奈良では鹿は神様の使いと言うけれど、ここ屋久島で会うと、確かに神々しい感じがする。そういえば、もののけ姫屋久島の森をモデルにして作られているらしいけれど、主人公が乗っていた鹿は、屋久島の鹿だから、ヤックルなのか!?


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どうでもいい事をぼんやり考えてたら、いつの間にか縄文杉に着いた。え、もう着いちゃったん!?

結構、唐突に着いたので、ちょっとびっくりした。さあ、いよいよ縄文杉だ。


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一歩一歩高台に上がり、縄文杉を見る。想像では圧倒的な存在感があるように思っていたんだけど、ごく自然にそこに縄文杉はあった。静かに、だけど悠久の時間を経たものだけが持つ風格を漂わせて。僕はとうとう縄文杉に辿り着いたのだ。


僕はしばらく高台から縄文杉を眺めていた。そしてここまでの日々を思った。達成感はあった。だけどここに辿り着くまでの過程が大切だったんじゃないか。僕は吸い寄せられるようにしてこの縄文杉を目指した。その中でいろいろな物を得た気がする。以前の僕だったらこんな悪天候の中、4時間も歩き切ることなんてできなかった。


ぼんやりと縄文杉を眺めながら、物事の不思議さを思った。時折、人生には来るべき場所があるのかもしれない。


次第に高台にも人が多くなってきた。僕は高台を降りて、近くの山小屋へと向かった。もしも、空いていたらそこで昼食を食べよう。


行ってみると残念ながら山小屋はいっぱいだった。まだ雨が降り続いているので、外で食べることはできない。僕は山小屋の下のスペースで食べることにした。


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下のスペースは結構広くて、4、5人くらいは入れそう。僕の後に女の人が何人か続けて入ってきた。その中の2人連れの女の子と相向かいになったので、昼ご飯を食べながら、いろいろ話をした。2人は地元ではないけれど鹿児島の子で、やっぱり一回くらいは行っておかないと、と思って来たらしい。やっぱり近くにあると逆に行かないもんなんだなあ。とても明るく、素直そうな子たちだ。屋久島も含めて、やっぱり南国の人たちはいい人が多いなあ。


昼ご飯を食べ終わると、

「あ、これ良かったらどうぞ。」

と、リボビタンDを差し出された。突然出てきたのでびっくりした。ありがたく頂いて、早速飲んだ。鹿児島の女の子たちと仲良くリボビタンDを飲むことって中々ない。


下のスペースも混み始めたので、僕は女の子たちに感謝の言葉を言って外に出た。さて、帰りますか。


帰りは余裕も出てきたのか、リボビタンDのお陰なのか、軽快な歩みで進んでいく。途中ハートの石を見つけた。


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来るときは気付かなかった。なんかいいことあるかな?ウィルソン株ではもう一度ハートの形の写真にチャレンジした。近くにいた人にベストポジションを教えてもらい、何とか撮ることができた。


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帰り道、一緒になった人と話していたら、何と僕が昨日泊まった宿に泊まっていることが判明!不思議なこともあるもんだ。昨日は僕を合わせて4人しか泊まってなかったのに、そのうちの1人とこんなとこで出会うなんて。


やがて荒川登山口に帰ってきた。時刻は3時。8時間くらいかかったことになる。思っていたりよりも早かったかも。


バスで安房に帰った。今日は昨日とは違う宿を取ったので、そこまで行こうとしたら道を間違える。いや、俺のせいじゃないし。アプリのせいやしー!


もう疲れ果てていたので、宿に場所を聞こうと電話したら、車で迎えに来てくれるとのこと。良かった、安房でのたれるとこやったし。


宿の人の車に乗り、その道中いろいろ話をする。今日はシーズンオフということもあり、まだ宿は空いているそうだ。さらに話をしていると、2人連れの鹿児島の女の子が泊まっていることがわかってびっくり。この屋久島では本当に不思議なことがあるらしい。


ようやく宿に到着。今日は本当に疲れた。早速お風呂に入り、ゆっくり湯に体を浸した。そうこうしている内に夕食の時間だ。今日は民宿で二食付きなのだ。


宿の人が部屋に夕食を持ってきてくれた。「台風でいい刺身がないんだけど。」と言って、出された夕食はとっても豪華。いやいや、これで十分です!


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もうお馴染みのトビウオの焼いたのに、イカとマグロのお刺身。味噌汁は屋久島名物、亀の手だ。これ食べたかったんだよなー。


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んー、正しく亀の手だな。早速、亀の手を食べてみる。殻を割って、身を吸い出す。あ、美味しい。貝みたいな味がする。見た目はグロテスクだけど、味はいい感じ。


お腹も減っていたので、食が進む進む。あっという間に食べ終わった。ご馳走様でした。


布団を敷くと、眠気が襲ってきた。長い一日だった。でも、まだ二日ある。とても楽しみだ。明日は何が起こるのやら。