ひびこれよきひ

日々の生活の中のちょっとした発見や旅先でのことなどを書いていきたいと思います。

踊る阿呆になってみた

阿波踊りに行く!と決めたのは、実は屋久島旅行を計画した時と同時期だった。どうなるか分からないけど、一応、宿だけとっておこうかなと思ったのだ。


阿波踊りには前にも行った事があるんだけど、最高にテンションが上がりまくった記憶がある。四国の祭りの二大巨頭、よさこい祭りに行った時はそこまでではなかったから、よほど性に合っていたんだろう。


今年の夏も阿波踊りを満喫するべく、僕は徳島行きの電車に乗った。電車は徳島に近づくにつれて、浴衣姿の女の子や家族連れ等で混雑し始めた。でも車内は祭りが始まる高揚感からか、とてもみんな楽しそうだ。


徳島駅に降り立つと人は益々増え、大勢の人の波に流されるようにして駅の外に出た。どこからか太鼓の音が聞こえ、その音に誘われるかのように皆、前へ前へ進んで行く。


駅から少し歩くとそこは熱気に溢れていた。


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徳島の街は阿波踊り一色だった。徳島ってこんなに人がいるんだっけ?と思うくらい人がいる。後でニュースを見てみたら、阿波踊り期間中は100万人以上の人出があるそうだ。


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そこかしこで踊りの輪が出来ていて、個性豊かな踊りを見ることが出来る。これは凧をイメージした踊りで、凧の役の人、それを見えない糸で引く人が呼吸をぴったりと合わせて引いたり押したりする。


熱気溢れる徳島の街を歩き、でも僕はどこか違和感を感じた。以前に来た時の心が沸き立つような思いがないのだ。楽しいと心から思えない。なぜだろう?自分でもよく分からないまま街を歩き続けた。


せっかく来たのにこれではあかん!と思って、にわか連に入った。にわか連と言うのは、一般の人でも入る事ができるグループで、ステージ上の進行役の人たちが踊り方や掛け声のかけ方などを教えてくれる。


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一通り教えてもらった後、いよいよ道路を踊り歩く。にわか連も沿道の観客もすごい人だ。


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名も知らない人たちと一緒に踊り歩く。右手と右足、左手と左足を交互に出す。みんなどこかぎこちないけれど、それもまたいい。何よりみんな楽しげだ。笑顔が溢れていた。


にわか連を踊り終え、まだ踊り足りなくてにわか連の集合場所近くに行った。ここでは歌やラップに合わせて阿波踊りを踊る事ができる。リズムは阿波踊りなんだけれど、二拍子のリズムとラップが非常に合う。


僕はここで踊った。老若男女、外国の人も阿波踊りのグループの人もみんな熱に浮かされたように踊っていた。ラップに合わせて声を上げ、太鼓のリズムを体で感じて全身で踊っていた。ああ、これだと思った。


「踊る阿呆に  見る阿呆  同じ阿呆なら踊らにゃ損損。」


DJの人が叫ぶ言葉が僕の胸に響く。僕が今年阿波踊りに来た訳は、踊る阿呆になるためだったんだ。うん、そうだよ、踊らにゃ損損!


この日、徳島は日本で一番広いダンスフロアだったと思う。


やがて休憩タイムになった。まだ時間があったから、有名連と言われる阿波踊りのグループの中でもメジャーなグループの踊りを見に行くことにした。


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有名連の踊りは正しく一糸乱れぬ集団演技だった。派手さはよさこいに劣るかもしれない。でも、美しさと気品があった。一挙手一投足が美しいのだ。長い歴史の中で脈々と受け継がれた踊りのDNAがそこにはあった。


阿波踊りは踊り手とそれを見る観客として楽しめるだけでなく、それら全員が一体となって踊りさざめく他に類を見ないお祭りだ。毎年100万人以上の人々が来る理由が分かったような気がした。


そして、また僕もきっとここに来る。今度はもっと阿呆になりたい!


「踊る阿呆に  見る阿呆  同じ阿呆なら踊らにゃ損損!」