弥仙山に登ってみた
いよいよ迫ってきた屋久島行きに向けて、一人で山登りにチャレンジすることにした。今まではハイキングのサークルでしか山には登ったことがなかったから、一人で登るのはほとんど初チャレンジだ。
どこの山にしようかなーと、図書館から借りてきた本を眺めてみた。あ、ここにしよっと。
山の名前は弥仙山。何だかとても優美な名前だ。関西百名山にも選ばれていて、丹波富士とも言われる美しい姿をしているらしい。
また、修験道の山としても有名で、役小角や行基といった有名な人も修行したことがあるらしい。むむ、何だかすごいぞ弥仙山!
でも、この山を選んだ何よりの理由はある伝説が伝わっているからだ。
それは・・・
弥仙山は近くの青葉山と背比べの競争をしていた。弥仙山は青葉山よりも少し低いのが悔しくて、ある晩、麓の村に住んでいた太郎兵衛の夢に現れて、青葉山よりも高くなりたいので、山頂に石を積んでくれと頼んだ。太郎兵衛は村人と相談して、年に四回、季節ごとに山頂に石を積むことにした。
という伝説があるのだ。今でも弥仙山に登る人は麓の河原の石を持って登り、山頂に積んでいるみたい。石を積んで山頂の神社でお参りすると願いがかなうという話もあるみたいで、ちょっと楽しい。
俺も山頂に石を積みたいー!というわけで、弥仙山にれっつごー!
弥仙山は京都にある。かなり奥まったところにあって、細い道を車で行くと昔話にでも出てきそうな家々が並んでいる。
やがて弥仙山が見えた。弥仙山は名前の通り、とても美しい形をした山だ。
さて、登山口まで来た。車を駐車場に停めて歩き始めると、草むらから「ガサガサッ」と音がする。鹿!?猪!?とかなりドキドキするが、何も出ず。のっけからびびらせんといてくれー!
気持ちを切り替えて再スタートしようとふと道を見た。小さな生き物が歓迎?してくれてた。よく見ると可愛いな、こいつw
しばらく行くと水分神社に着いた。この水分神社は弥仙山の麓にあり、中腹と山頂にもそれぞれ神社があるらしい。まずはこの水分神社で登山の無事をお祈りする。
さあ、いよいよ山登りだ!道の脇には小川が流れていて、水の音が心地いい。
道はなだらかだし、緑も綺麗だし、気持ちいいなあ。と思ったのもつかの間、舗装されていた道からいきなり砂利道になり、険しい感じに。むむっ、来たなー!
山道を少し行くと、今度は石の階段が現れた。苔むしていて何だかいい風情だなあ、この階段。
だけど風情と辛さは全く関係がなく、延々と続く階段に汗が流れる。階段を登り切った先には、二つ目の神社、於成神社があった。
於成神社の脇を抜けて、また山を登って行く。道の所々に水が飲めるように整備されている場所がある。地元の人の好意なのか、コップも用意されているのが嬉しい。水はとても澄んでいて、美味しい。
山頂に向かう道には大きな岩があり、その大きさに圧倒される。
途中には滝もあって、昔の人たちが修行した気配があちらこちらに感じられる。ここは本当に神域なんだなあ。
最後の坂をひと頑張りして登り切ると、ようやく山頂に出た。山頂には三つ目の神社、金峰神社がある。
その金峰神社の本殿の横には、今まで登ってきた人たちが積み上げた数多くの石があった。
僕も麓で拾った小さな石を置かせてもらった。みんなのいろいろな気持ちが積まれているんだなあと思うと、僕も温かい気持ちになった。
最後に金峰神社でお参りをした。振り返ると向こうの山々の景色がわずかに見えた。
登ってみて、弥仙山は修験者の人たちだけでなく、地元の人や登山をする人々に愛された山だということがよく分かった。
初めて登ったのがこの弥仙山で良かった。またいつかこの弥仙山に登りたい。そしてまた一つ山頂に石を積み上げたいと心から思った。