ひびこれよきひ

日々の生活の中のちょっとした発見や旅先でのことなどを書いていきたいと思います。

屋久島旅行 〜 4日目 台風と屋久島 〜

4日目の朝は風の音と共に起きた。強風が草花を揺らし、ガサガサと音を立てる。台風が近づいているのだ。昨日の天気予報では今日は晴れだし大丈夫だと思うんだけど、この強風だと波が高そうだ。今日は家に帰る日だけど、フェリー大丈夫かな?


一抹の不安を覚えつつ、今日の計画について考える。今日は大川の滝を見て、平内海中温泉に入り、1時半の屋久島2に乗って鹿児島まで帰る予定だ。


平内海中温泉はいつもは海中にあって、干潮の前後2時間だけ入る事が出来る珍しい温泉だ。温泉好きとしては外すわけにはいかない。今日は干潮が12時くらいなので、大川の滝を先に見て、10時過ぎくらいに平内海中温泉に行こうと思っている。


朝食を食べ、宿を後にする。振り返ると屋久島の豊かな自然が広がっていた。


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縄文杉じゃなくても、白谷雲水峡じゃなくても、屋久島の自然を感じる事は出来る。何気ない一つ一つの風景が心を打つ。


道に降りてバス停を目指す。バス停は宿に近いバス停ではなくて、もう少し先のバス停から乗る予定。早朝だとそこからしか大川の滝方面のバスが出ていないのだ。


こういう時、バスって不便だなあって思う。でも、歩く事で感じたり、発見したりする事も多い。まあ、散歩気分で楽しみながら行こう。


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しかし、暑い。とにかく暑い。まだ朝だと言うのに気温はぐんぐん上がってる感じだ。日なたをなるべく避けて日陰を歩くようにする。ギリシャの人は昼間は出歩かずに、夕方涼しくなってから出かけるそうだけど、この暑さだとその気持ちがよく分かる。


やがてバス停に着いた。相変わらず風は強くて、段々不安が増してきた。バス停の近くにいた人にフェリーの状況について聞いてみた。


屋久島2はもう欠航だよ。あれは波が3メートルあったら欠航するからね。トッピーは4メートルまで大丈夫だけど、台風が近づいてきているし、トッピーも危ないよ。帰るなら早く帰った方がいい。」


地元のおじさんの予言めいた言葉に僕はかなり焦り始めた。今日もしも帰れなかったら、多分台風の影響で明日も明後日も帰れない。さすがにそれはマズイ。


すぐにネットでトッピーの時刻表を調べた。これからだと12時の便が一番早い。もうこれで帰ろう。


少し時間があるので、せっかくやしと思って、平内海中温泉を諦め、その少し先にある湯泊温泉に行く事にする。ここなら24時間いつでも入れるし、海のすぐ近くにあって風情を感じる事もできる。


そうと決まればと早速バスに乗る。いつものようにバスの運転手さんと話すと、この大川の滝行きのバスは本当なら回送のバスだそうだ。でも、せっかくだしという事でお客さんも乗せているらしい。


「お客さんすごくめずらしいよ。滅多に人は乗らないからね。」

と言われた。ついでに帰りのバスについてもいろいろ聞いておく。本当にこの旅行ではバスの運転手さんにお世話になってるなあ。


湯泊で降り、坂を下って海に向かう。海の近くに浴槽が見えてきた。裸の男の人が近くに立っている。よし、俺も入るぞー!と浴槽をよく見ると


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お湯が少ししか入ってない。なぜ!?すると裸の男の人が、

「今は掃除中だから、後1時間くらい入れないよ。」

と教えてくれた。ええ!掃除中!?横の主浴槽らしきところでは確かに掃除をしている。


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ここまで来て掃除中、、がっかり。あ、でももう一つ海のすぐ側にも浴槽があることを思い出し、聞いてみる。


「ああ、それならこの先にあるよ。でも今は波が高くて入れないよ。」

まあ、とりあえず見に行こうと思い、歩いて行くと海のすぐ側に浴槽がある。時々、波が浴槽の中に入ってきている。ワイルド過ぎるだろ、これ!


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まあ、でも入れないこともないし、ここまで来たからには!と意を決して入ってみる。おー!気持ちいい!温度は低めでそれほど温かい感じはしないけれど、ほのかに硫黄の匂いがする。浴槽の端の方にある穴からは温泉も吹き出ているようで、足を入れるとほのかに温かい。


波しぶきをあげる海を見ながら温泉に入っていると、ここ数日の疲れも癒える気がする。入りに来て良かった。


3、40分くらいゆっくり入ってから、衣服に着替えた。再びバスに乗り、宮之浦を目指す。宮之浦が近づくにつれて、空が少しずつ曇ってきた。早く帰れと言われているようで、少し焦る。


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高速船のターミナルはお客さんで一杯だった。みんな台風で欠航する前に屋久島を離れようとしているのだ。何とかチケットも買えて、無事にトッピーに乗ることができた。


屋久島を離れながら、僕は屋久島であった様々な事を思い出していた。何となく思い立った屋久島旅行だけど、思い出に残る旅行になった。


さよなら、そしてありがとう。


トッピーは2時間程で鹿児島に着いた。鹿児島は屋久島とはうって変わって快晴。この違いは何なんだ!?


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あまりの暑さに鹿児島観光もそこそこに温泉に入る事にする。知らなかったけど、鹿児島には街中に数多くの温泉がある。県庁所在地の街中にこんなに多くの温泉があるところは日本中探してもあまりないと思う。


その中の一軒、滑川温泉に入ってみた。銭湯料金で源泉掛け流し。日焼けした肌に気持ちいい。なぜか歌謡曲がかかってるところもいい感じ。


温泉から上がって鹿児島駅へ。電車に乗り、バスを乗り継いで鹿児島空港に着いた。


フライト時刻まではまだ時間があるので、とりあえず夕飯を食べる事にする。鹿児島空港は地方の空港にしては大きくて、いろいろなお店がある。その中の一軒、大空食堂に入ってみた。


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なぜここにしたかと言うと、鶏飯バイキングというのが気になったのだ。由来も書いてあって、奄美大島の人たちが鹿児島から来た役人たちをもてなすために作った料理、とある。どんなんやろ!?


お店の人に作りかたを聞いて、早速やってみる。ご飯に錦糸玉子や椎茸、刻み海苔などをのせて、最後に鶏肉が入った鶏ガラスープをかける。何かめっちゃ美味しそう!


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この鶏飯はバイキングなので、食べ放題。これで580円は安い!鶏ガラスープはどうなんやろー?って思ってたけど、様々な具とベストマッチしていてすごく美味しい。


周りを見ると、安さからか物珍しさなのか鶏飯を頼んでいる人が多い。他の人たちも「美味しい!」と舌鼓をうっていた。この鶏飯はかなりヒットかも。屋久島旅行の最後のご飯がこの鶏飯っていうのもいい感じだ。


やがてフライトの時間になり、飛行機に乗り込んだ。そして離陸。鹿児島の町の光が小さくなり、やがて遠くなった。


この屋久島旅行は4日間の旅だったけど、何だかとても長かったような気がする。それは思い出の多さと比例しているのかもしれない。


屋久島から帰ってしばらく経つけれど、時折島の事を思い出す。屋久島で出会った人たちと豊かな自然が僕の心を揺らめかせるのだ。




屋久島旅行 〜 3日目 白谷雲水峡 〜

いよいよ屋久島の旅も3日目。昨日の縄文杉トレッキングで足が少し痛いものの、思ったよりも元気な感じ。案外、自分の体って丈夫なもんだ。


今日の屋久島は朝から晴れまくっている。日差しが痛いくらい。昨日の雨は一体何だったんだー!?


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バス停に向かう途中、通りがかりの人と挨拶していると、何だか自分が屋久島に住んでる気になってくる。中学生くらいの子でもちゃんと挨拶してくれるし、屋久島の人は本当にフレンドリーだ。


今日は縄文杉と並ぶ屋久島の観光名所、白谷雲水峡に行く予定。後はあんまり考えてないけど、温泉でも行こうかな?屋久島は意外にも温泉が多くて、温泉巡りも出来ちゃうのだ。


安房からバスに乗り、まずは宮之浦へと向かう。その間、バスの運転手さんと話す。バスの運転手さんは気さくな人で、何でも答えてくれる。他の観光客らしい人たちにも挨拶していたし、屋久島のバスは観光客との距離が近い感じだ。


宮之浦港から白谷雲水峡行きのバスに乗り換える。隣に座っている人に話しかけてみた。使い込んだ大きなザックを担いでいて、いかにも旅慣れている感じだ。明日縄文杉に行くそうで、僕も昨日行った話をした。

「もっと大変かと思ってたら案外、行けるもんですよ。」

とか、ちょっと経験者ぶってみる。


バスはまたどんどん上へ上へと上がって行く。抜けるような青空と海が眼下に開け、手前には宮之浦の町も見える。いい景色だなあ。


30分ほどで白谷雲水峡の入り口に着いた。


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早速、白谷雲水峡にチャレンジ!


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一口に白谷雲水峡と言っても、実は大きく分けて3つのコースに分かれている。弥生杉コース、奉行杉コース、太鼓岩往復コースの3つだ。3つのコースはそれぞれ独立していて、時間に合わせて選ぶことができる。例えば少ししか時間がないなら、弥生杉コースにある弥生杉だけを見に行くという感じだ。


だけど、この白谷雲水峡のメインはやっぱり太鼓岩コースにある太鼓岩と苔むす森だ。どちらもスタジオジブリの人たちがもののけ姫を作る際に参考にした場所で、実際に映画にも出てくる。


んー、行けなくもないし、奉行杉コース通って、そのまま太鼓岩と苔むす森見に行っちゃおうかな?


白谷雲水峡は半日くらいあれば十分見れるとネットにも書かれていたし、軽く考えて先に進む。


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二代杉は切り株の上にまた木が生えてきたもので、屋久島にはこういう木も多いそうだ。この二代杉から奉行コースかあ。ん?でもこれどこが道なんやろ?


よく分からなかったので、向こうからきた人に聞いてみる。

「私もよく分かりませんけど、この先もコースがあるっぽいですよ?」

じゃあ、やっぱりこっちで合ってそうやな。ん?でも、コースがあるっぽいって??何だか悪い予感がするぞ。


奉行杉コースらしき道を行くと、いきなり急な斜面が続く。あまり道も整備されておらず、まさに山道を歩いてる感じだ。コースもはっきりとはわからない。唯一木の枝にピンクのリボンが結んであって、正しい道を教えてくれている。


これはキツイ。どうりで人が少ない訳だ。さっきの人もきっとこのコースを見て諦めたに違いない。


このコースを選んだことを少し後悔したけれど、もう乗り掛かった船だ。頑張るしかない。とは言うものの坂は急峻だし、昨日の雨で川の水が増水していて渡るのも大変だし、昨日の縄文杉よりもよほど大変やーん!


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暑さと疲れでダウン寸前の僕を助けてくれたのは、白谷雲水峡の水だった。


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そこら中に水が溢れ出ている。水は澄んでいて美しく、ひんやりと冷たい。手をつけただけでも、冷たさが伝わってくる。水をすくって飲むと、しばし暑さも忘れる。


ようやく奉行杉コースを抜け、太鼓岩コースに出た。その途端、人がどっと増えた。みんなこっちのコース通ってたのか!そりゃ太鼓岩とか見に行くだけなら、わざわざ奉行杉コース通らなくても、真っ直ぐに来た方が早いもんなー。


かなり疲れもピークに来ていたけれど、人が増えると元気も出てきた。ゴールの太鼓岩も近づいてきたし、あともう少し頑張ろう!


太鼓岩に行く途中、苔むす森が見えてきた。「すごい!」思わず声が出た。


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この一帯は特に苔が多くて、神秘的な風景が広がっている。これは確かにもののけたちも出てきそうだ。


苔むす森を抜けると、ちょっと広い場所に出た。ベンチも幾つもあって、休息所になっている。他のグループの人たちはここで昼ご飯を食べ、最後の太鼓岩へのアタックに備えているようだ。


僕はまだ少し余力があったので、ここで一気に太鼓岩を目指すことにする。太鼓岩までは標高がぐんと上がるらしく、急峻な坂道だ。息が切れて汗が吹き出る。時折短い休憩も入れながら、太鼓岩を目指す。


人の声が聞こえてきた。山頂が近づいている。やがて視界が開け、太鼓岩に出た。


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太鼓岩は巨大な岩で、その上に乗ると全てが見渡せる感じだ。とても美しい。絶景というのはこういうことを言うんだなと思った。


もののけ姫ではサンとオオカミの一族がこの岩に座って下を見下ろしている。確かにここからだと下の様子がよく分かるだろうな。


あまりの美しさにしばし見惚れた。

しばらくすると、雲が辺りを覆い始めた。ここは雲の上なのだ。それを機に僕は太鼓岩を降り始めた。


帰りは太鼓岩コースを通って帰ることにした。確かにこっちの方が早い。楠川歩道とも言われていて、江戸時代に木を伐採して運んだ道なのだそうだ。帰りは足も軽くなり、足早に道を進んで行く。


やがて白谷雲水峡のスタート地点に戻ってきた。そこから宮之浦まで帰る。もう疲れ果てていたので宮之浦のスーパーでお弁当やお茶を買い、今日泊まる宿に向かうことにした。


今日泊まる宿は宮之浦や安房と言った町にあるのではなく、さらに南の方にあるゲストハウスだ。


バスに乗って、運転手さんに宿の近くのバス停まで行けるかどうかを聞こうとすると、

「あ、今朝も。」

と、にこやかに挨拶してくれた。朝いろいろ教えてくれた運転手さんだった。顔馴染みになったようで、何だか嬉しい。


一時間程、バスに揺られて宿の最寄りのバス停に着いた。そこは民家も何もない場所で少し不安になる。看板があったのでそれに従って進む。


本当こんなとこに宿があるのか?と不安になる頃にゲストハウスが見えてきた。山の麓にあって近くに川も流れている自然豊かなところだ。


宿はまだ新しいようで木の匂いがする。部屋もとても綺麗で、何だか嬉しくなった。

「昨日までは外人さんがたくさん泊まってたんだけどね、今日はこの部屋はもう一人日本人の人がいるだけだよ。」

と宿の人が教えてくれた。確かに僕の近くのベッドには沢山の荷物があった。まだ帰ってないらしい。後で挨拶しよっと。


とりあえずお風呂に入ることにする。トレッキングの後はお風呂は必須だなあ。


汗を流してすっきりすると、今度はお腹が減ってきた。共同で使える部屋があるので、そっちの方でお弁当を食べることにする。


BSしか映らないテレビを見ながら、のんびりお弁当を食べる。美味しいなー。


しばらくすると一人の男性が帰ってきた。宿の人と話している顔を見ると、、、あ!今朝バスで話した人だ!それも、どうやら僕と同室らしい。不思議な事も3度も続くと、驚くというよりも感心する。この屋久島ではきっと何でも起こるのだ。


挨拶をすると向こうも驚いたようだ。そりゃそうだ。彼は荷物を置きに行き、夕食を片手に戻ってきた。2人でご飯を食べながらのんびり話し始めた。


彼は昨日からここに泊まっているらしく、昨日は同じ部屋にいた外人さんに誘われて、ウミガメが卵を産むのを見に行ったそうだ。それもレンタルした自転車で。ここからウミガメがいる浜まで20キロくらいはある。着いた時はもう夜中だったそうだ。

「運良く卵を産むのを見れましたよ!」

ふらふらの状態で宿に帰り、寝不足で白谷雲水峡に向かう途中、バスで僕に出会ったという訳だ。


別に登山が好きというわけではなく、行きたいと思うところに行っているらしい。

「沖縄の離島もすごく良かったですよ。」

と勧めてくれた。次の目標は富士山に登ること、と楽しそうに話してくれた。


ゲストハウスではいろんな人に出会う。彼とはもう会う事はないかもしれないけれど、2人でお弁当をつつきながら語り合った屋久島の夜を僕はきっと忘れない。


彼は次の日に縄文杉に行くそうで、早々に部屋に戻って行った。


同じ部屋で眠るけど、僕が起きた時、彼はもう縄文杉へ向かっていてここにはいない。何だか奇妙な感じもするけれど、それもきっと屋久島らしい。





屋久島旅行 〜 2日目 縄文杉を目指せ! 後半 〜

縄文杉トレッキングのスタート地点は昔のトロッコ電車の発着点だ。これからこの線路を四時間くらい歩くことになる。


歩き始めると思いの外激しい雨で、線路は所々冠水している。濡れないように線路の枕木を上手くバランスをとりながら渡っていくんだけど、歩きにくいことこの上ない。時々、水たまりにはまることがあって、開始早々に靴を濡らすことになった。


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どうも歩くスピードが僕は少し早いようで、いろいろなグループを追い抜いていく。女の人二人のグループ、ガイドに率いられたグループ、外国の人のグループ等々。狭い道なんだけど、後ろから早い人が来るとみんな「先にどうぞ!」と快く譲ってくれる。どこでもそうなんだけど、山登りをする人は本当に良い人ばかりだ。


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途中、こんな橋もあったりするんだけど、雨風もすごいしちょっと怖い。


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川も完全に濁流状態。落ちたら間違いなく死ぬな、俺・・・。もはやトレッキングというよりもちょっとしたアドベンチャーになってきたし。


1時間ちょっと歩くと、昔の学校跡に着いた。


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昭和40年代まで、ここには材木を伐採して生計を立てていた人たちが村を作って住んでいた。小中学校まであって、当時の賑わいが感じられる。やがて自然保護の声の高まりから、伐採が禁止されるようになり、村はなくなることになった。


しかし、その村の人たちが伐採の仕事に使っていたトロッコ電車の線路を、今度は僕たちがトレッキングに使っている。何だか不思議な話だ。


さらにこの線路沿いには昔、江戸時代に薩摩藩の命令で木を伐採したという跡も残っている。この道はいろいろな人たちの思いが詰まった歴史ある道なのだ。


感慨にふけりながら、黙々と歩いて行くと、いつの間にか大株歩道入口に着いた。トロッコ道はここで終わり、いよいよ本格的な登りになる。


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ここには最後のトイレがある。この先、縄文杉まではもうトイレがないので、ちょっと行っておくことにする。


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え!?なんだこの行列!まさかのトイレ行列にびっくり。もうやめておこうかと思ったけど、この行列は女の人の方らしく、男子トイレはすぐに入れた。


他の人の話を聞いてると、繁忙期には女の人は1時間くらい待たなくちゃいけないらしい。トイレはここまでにもう一、二カ所あるので、特に女の人は途中で済ませてしまった方がいいかも。


これからの山登りに備えて、カロリーメイトを少し食べる。やっぱり食べると元気出るなあ。食べるということはエネルギーを取ることなんだと実感する。


ちょっと元気も出てきたし、頑張って大株歩道歩きますか!


いろいろなガイドの人が「ここからが本番ですよ!」とグループの人たちに発破をかけているのを横目に、僕は一人登り始めた。


傾斜があって、今までの道程とは比べものにならないくらいキツイ。さすが本番!でも、山道ながら、それなりに整備されているので登りやすい。


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しばらく登っていくと、多くの巨木や名のある木々が現れてきた。いよいよ屋久島らしい場所に足を踏み入れてきたことを感じる。1000年以上経ったものでないと屋久杉とは言わないそうで、悠久の時間がここには流れてきたのだ。


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多くの木々の中で僕が特に心惹かれたのはウィルソン株だ。ウィルソン株は400年以上前に伐採された切り株だ。


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中は空洞になっていて入ることができる。中には水が溜まっていて、見上げると面白い形をしている。ハートの形に見えると言うので有名らしいんだけど、僕が登りの時に撮った時は星の形のようになった。どうも撮る場所によって形が変わるらしい。


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人が多くなってきたので、また後でもう一度来ようっと。


ウィルソン株を後にして、僕はまた登り始めた。もう縄文杉は大分近くなってきたみたい。案内板があるので、自分の今の位置を常に知ることができる。道がきちんと整備されていたり、携帯トイレ用のテントが張られていたりと、所々に地元の人たちの思いが感じられる。


アップダウンを繰り返し、いよいよ縄文杉が近くなってきた。


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途中、鹿に出会った。奈良では鹿は神様の使いと言うけれど、ここ屋久島で会うと、確かに神々しい感じがする。そういえば、もののけ姫屋久島の森をモデルにして作られているらしいけれど、主人公が乗っていた鹿は、屋久島の鹿だから、ヤックルなのか!?


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どうでもいい事をぼんやり考えてたら、いつの間にか縄文杉に着いた。え、もう着いちゃったん!?

結構、唐突に着いたので、ちょっとびっくりした。さあ、いよいよ縄文杉だ。


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一歩一歩高台に上がり、縄文杉を見る。想像では圧倒的な存在感があるように思っていたんだけど、ごく自然にそこに縄文杉はあった。静かに、だけど悠久の時間を経たものだけが持つ風格を漂わせて。僕はとうとう縄文杉に辿り着いたのだ。


僕はしばらく高台から縄文杉を眺めていた。そしてここまでの日々を思った。達成感はあった。だけどここに辿り着くまでの過程が大切だったんじゃないか。僕は吸い寄せられるようにしてこの縄文杉を目指した。その中でいろいろな物を得た気がする。以前の僕だったらこんな悪天候の中、4時間も歩き切ることなんてできなかった。


ぼんやりと縄文杉を眺めながら、物事の不思議さを思った。時折、人生には来るべき場所があるのかもしれない。


次第に高台にも人が多くなってきた。僕は高台を降りて、近くの山小屋へと向かった。もしも、空いていたらそこで昼食を食べよう。


行ってみると残念ながら山小屋はいっぱいだった。まだ雨が降り続いているので、外で食べることはできない。僕は山小屋の下のスペースで食べることにした。


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下のスペースは結構広くて、4、5人くらいは入れそう。僕の後に女の人が何人か続けて入ってきた。その中の2人連れの女の子と相向かいになったので、昼ご飯を食べながら、いろいろ話をした。2人は地元ではないけれど鹿児島の子で、やっぱり一回くらいは行っておかないと、と思って来たらしい。やっぱり近くにあると逆に行かないもんなんだなあ。とても明るく、素直そうな子たちだ。屋久島も含めて、やっぱり南国の人たちはいい人が多いなあ。


昼ご飯を食べ終わると、

「あ、これ良かったらどうぞ。」

と、リボビタンDを差し出された。突然出てきたのでびっくりした。ありがたく頂いて、早速飲んだ。鹿児島の女の子たちと仲良くリボビタンDを飲むことって中々ない。


下のスペースも混み始めたので、僕は女の子たちに感謝の言葉を言って外に出た。さて、帰りますか。


帰りは余裕も出てきたのか、リボビタンDのお陰なのか、軽快な歩みで進んでいく。途中ハートの石を見つけた。


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来るときは気付かなかった。なんかいいことあるかな?ウィルソン株ではもう一度ハートの形の写真にチャレンジした。近くにいた人にベストポジションを教えてもらい、何とか撮ることができた。


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帰り道、一緒になった人と話していたら、何と僕が昨日泊まった宿に泊まっていることが判明!不思議なこともあるもんだ。昨日は僕を合わせて4人しか泊まってなかったのに、そのうちの1人とこんなとこで出会うなんて。


やがて荒川登山口に帰ってきた。時刻は3時。8時間くらいかかったことになる。思っていたりよりも早かったかも。


バスで安房に帰った。今日は昨日とは違う宿を取ったので、そこまで行こうとしたら道を間違える。いや、俺のせいじゃないし。アプリのせいやしー!


もう疲れ果てていたので、宿に場所を聞こうと電話したら、車で迎えに来てくれるとのこと。良かった、安房でのたれるとこやったし。


宿の人の車に乗り、その道中いろいろ話をする。今日はシーズンオフということもあり、まだ宿は空いているそうだ。さらに話をしていると、2人連れの鹿児島の女の子が泊まっていることがわかってびっくり。この屋久島では本当に不思議なことがあるらしい。


ようやく宿に到着。今日は本当に疲れた。早速お風呂に入り、ゆっくり湯に体を浸した。そうこうしている内に夕食の時間だ。今日は民宿で二食付きなのだ。


宿の人が部屋に夕食を持ってきてくれた。「台風でいい刺身がないんだけど。」と言って、出された夕食はとっても豪華。いやいや、これで十分です!


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もうお馴染みのトビウオの焼いたのに、イカとマグロのお刺身。味噌汁は屋久島名物、亀の手だ。これ食べたかったんだよなー。


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んー、正しく亀の手だな。早速、亀の手を食べてみる。殻を割って、身を吸い出す。あ、美味しい。貝みたいな味がする。見た目はグロテスクだけど、味はいい感じ。


お腹も減っていたので、食が進む進む。あっという間に食べ終わった。ご馳走様でした。


布団を敷くと、眠気が襲ってきた。長い一日だった。でも、まだ二日ある。とても楽しみだ。明日は何が起こるのやら。




屋久島旅行 〜 2日目 縄文杉を目指せ! 前半 〜

いよいよ、二日目。二日目にしていきなりこの旅のメインイベントである縄文杉トレッキングに挑戦するのだ。


昨日の疲れもあるのに大丈夫か、俺?とか、今日は雨みたいやし、明日にした方がいいんじゃない?とか、僕の頭の中で急遽、安全保障会議が行われたんだけど、なんとかなる!という結果に落ち着いた。


安房から縄文杉に行くためには4時47分か5時19分のバスに乗らなくてはいけないんだけど、とりあえずちょっとでも寝たいので5時19分のバスに乗ることにする。


それでも4時半には起きなくちゃいけないので、眠い目を擦りながら準備をし、まずは昨日宿の人に予約をしてもらったお弁当を取りに行くことにする。縄文杉トレッキングは往復10時間くらいかかるので、朝昼のご飯の準備は必須なのだ。僕は鹿児島で朝ご飯のパンを買っていたので、昼のお弁当を取りに行く。


外に出ると薄暗く雲が空を覆い隠していて、生暖かい風が吹きすさんでいた。南国特有の湿気を多く含んだ風だ。


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まあ、どう見てもトレッキング日和ではないよなあ。でも、今日は雨だとばかり思っていたから、この曇り空はむしろラッキーなのかも。


薄闇の中、坂をを下って行くと、ぼんやり明かりが見えてきた。お弁当屋さんはトレッキングをする人たちのために朝の4時から店を開けているみたい。


店のおばちゃんに予約をしていたことを伝え、お弁当を受け取る。コンパクトだけど、いろいろなおかずが入っていて、中々いいかも。きっとザックの中に入れる時に邪魔にならないようにコンパクトにしてあるんだろうな。


おばちゃんにお金を渡すと、

「これ良かったら持ってって!」

と、アメとチョコレートが沢山入った入れ物を差し出された。チョコは溶けそうだなあと思いつつ、美味しそうだったので一個だけいただく。アメもニ個もらった。


出ようとすると、

「頑張ってね〜。」

と、眠たげな顔でおばちゃんが励ましてくれた。アメもだけど、今回一人のチャレンジということもあって、こういうちょっとした心遣いが嬉しい。おばちゃんも早朝から大変だろうけど、頑張ってね。


5時19分ちょうどにバスが来た。バスの中にはそれほど人が乗っている様子はない。まだシーズン前だし、人が少ないんかな?


安房から屋久杉自然館までは6分であっという間に着いた。バスのタラップを降りると、、え!?これどういうこと!??


そこにはズラリと5列くらいに並んで登山客の人が座って並んでいる。100人はいるんじゃ!?


「はい、ここの列に座ってねー。」

いつものことだから、という感じで係りの人に手際よく座らされる。全くよく事情が分からないので聞いてみると、先に来た人たちから順に荒川登山口にバスでピストン輸送されていくらしい。


「お客さんは6時くらいのバスかなー。」

えー!ここで30分以上待つの?屋久島自然館から荒川登山口までは乗り換えをしなくてはいけないことは知ってたんだけど、まさかこんなに人がいるとは。さすが世界遺産。なめちゃいけなかった!


暇なので登山客の人たちをぼんやり眺めていると、流行を見事に反映して山ガールの人たちが沢山いる。とてもみんなカラフルで、南国の鳥を思い起こさせる。ほろほろ鳥とかそういうやつ。外国の人も結構いて、屋久島は海外の人にも人気があるんだなあと再認識した。


やがてバスが来て、先頭の人から順に乗って行く。僕が乗れたのは係の人の言葉通り6時のバスだった。バスは町並みを抜けて、山の奥へ奥へと進んで行く。標高もどんどん高くなり、30分程で荒川登山口に着いた。


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何と荒川登山口は雨!なんか山の上の方に雲がかかってて怪しいとは思ったけど、こんなに降っているとはー。他の人たちはテキパキとレインウェアに着替え、準備をしている。ガイドがいるグループはガイドがトイレやウェアの事など的確に指示を出して、必要な準備を進めていた。なるほど、ガイドを頼むっていうのはいろいろな利点があるんだな。


僕も負けじと買ったばかりのレインウェアを出す。どうだ!まだ新品やし!、、、おそらく熟練の登山客の中で、新品は僕くらいかも。でも、着てみると軽くていい感じだ。買っておいて良かった。とりあえず、レインウェア着たけど、傘もさして行こうっと。


さあ、いよいよ出発だ!


長くなりそうなので、後半に続く。




屋久島旅行 〜 1日目 はるばる屋久島へ 〜

いよいよ屋久島旅行当日になった。何だかあっという間だ。旅はよくするんだけど、今回は新しいチャレンジをすることもあってか、少しドキドキしている。子どもが遠足を待っている気持ちに少し似ているかも。


関西国際空港から鹿児島行きの飛行機に乗る。お金がないのでもちろんLCCのピーチだ。ピーチには今までにも何回かお世話になっている。飛行機というとちょっと身構えてしまうんだけど(僕だけ?)、いつも気軽に乗れていい感じだ。搭乗券もペラペラの紙で時々レシートの紙と間違えそうになるけれど、その気軽さが僕には合っているみたい。


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大阪の天気は快晴、とはいかなくて、この日は曇り。鹿児島の天気もあまり良くなさそうだ。屋久島は大丈夫かな?


まずは無事にテイクオフ。飛行機が飛ぶ時の感じが好きで、いつも顔がにやけてしまう。地面から離れ、関空がどんどん小さくなる。空を飛ぶことはいつも心に高揚感がある。


鹿児島空港までは50分。早いなあ。ちょっとうとうとしてたら着いちゃいそうだ。


「当機はこれから本格的な着陸態勢に入ります。」

というアナウンスと共に飛行機は少しずつ下降をし始めた。雲間に入ると飛行機は上下に揺れた。時々お尻が少し浮いて、ふわっとする。ジェットコースターにも似てて、ちょっとびっくりする。いや、飛行機にはエンターテイメントを求めてないから、安全にお願いしますー!


心の叫びが聞き入れられたのか、何とか無事に鹿児島空港に到着。へー、鹿児島空港って結構立派だなあ。出口を出ると、すぐ前に足湯が。すごい!空港に足湯があるとこなんて初めて見た!さすが温泉大国鹿児島!


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この温泉出てるとこ桜島なんかな?

何だか鹿児島感が満載の足湯でいいかも。しかし、この足湯あちい!


鹿児島空港からバスで近くの加治木駅へ。普通だったら鹿児島空港から市内までエアポートバスの直行便に乗ればいいんだけど、ここは節約で!


加治木駅から鹿児島駅までは電車。切符を買おうと窓口に行くと、

「今日は宮崎で大雨があって、電車に15分程度の遅れが出ています。」と言われる。えー!屋久島までの船に間に合わんかもやーん!


加治木駅から鹿児島駅まで頑張ってくれたみたいで、鹿児島駅には11分遅れで到着。屋久島までの高速船乗り場に急ぐぞー!


海沿いに鹿児島の町並みを眺めながら、船の乗り場へ。良かったー、間に合ったー。窓口でお金を払おうとすると、窓口の人が申し訳なさそうな顔をしている。何だか悪い予感がするぞ。

「今日は悪天候のため、到着の港が安房ではなく、宮之浦になりますがよろしいですか?」

ええー!宿は安房にとってあるんやけど、大丈夫なん!?


宮之浦から安房までは臨時バスが出るらしいんだけど、お金がいるみたい。それも830円。バスで830円って高っ!噂には聞いてたけど、やっぱり屋久島のバス高いなー。


とりあえず、泣く泣く船の切符を買う。高速船トッピーに乗って屋久島へ。波が荒く、すごく揺れる。今日は乗り物に揺られる日だな。


二時間半かかるので、ゲームでもしてよっと。一時間後、酔ってきた。こんな悪天候の中、ゲームしたらあかんな、、。隣の席では吐いてる子もいる。頑張れ俺ー!


苦痛の二時間半、ようやく屋久島が見えてきた。早く着いてー!


外に出ると屋久島は雨。「臨時」と分かりやすく表示されたバスに乗り込む。他のお客さんが

「このバスはお金かかるんですか?」と聞くと、

「お客さんたちは船の行き先が宮之浦に変更になります、と聞いてそれを納得されて乗られたんですよね?ですから、このバスは有料です。」

と運転手さん。


まあ、それはそうなんだけど、悪天候とは言え、船会社の都合で変更になったわけだし、バスの料金を少し安くするとかの配慮をしてくれてもいいと思うんだけどなあ。


いろんな思いを乗せつつバスは発車。臨時バスだけあって、途中のバス停は全部スルー。これ早くていいかも。30分程でバスは安房に到着。

830円を払おうとしたら小銭がなかったので、30円だけまず運賃箱入れてから、残りの800円を入れるために千円札を両替。すると運転手さんが、

「両替口から300円だけ取って、残りを全部運賃箱に入れてください。そっちの方が早いです。」


ん?あれ?


「え、300円取ると700円ですよね?200円じゃないですか?」

「お客さんが損をしなければいいんです。」


あ、この人悪い人じゃないんだな。短いやり取りだったけど、朴訥な運転手さんの優しさが伝わってきた。屋久島の人ってすごく率直に物事を言うけれど、きっとその裏には優しさがあるんじゃないかな。


バスを降りて、宿までの道を間違える。逆やー!でも、モスバーガー発見。屋久島にモスバーガーって何だか変な感じだ。結構な町なんだな、安房も。


何とか宿に到着。宿は下が観光案内所兼コンビニ、上が宿泊施設というちょっと変わったところだ。宿の人はとてもいい人で、気軽に何でも教えてくれた。初めての屋久島で分からないことだらけだったので、バスの時間や縄文杉に行く時のお弁当の事などいろいろ聞いてみる。


「この後、お店を閉めて私は帰るから、朝出る時はこの箱に鍵を入れてね。」

え!?夜は宿の中に宿泊者だけになるん?すごいなここ。


部屋は6人の相部屋なんだけど、今日は宿泊するのは僕一人らしく、貸切状態。やったー!他の部屋にも宿泊する人は3人だけらしい。次の週末くらいから宿がいっぱいになると言ってたから、夏休み前で良かった。


荷物を置いて下に行くと、もう宿の人は店を閉めていて無人状態。出入り口は24時間空いていて出入り自由。めっちゃオープンやなー。


お腹が減ったので、宿の人に聞いた近くのラーメン屋さんに行く事に。メニューを見るとラーメンだけじゃなくて、いろいろある。あ、これにしよっと飛び魚定食。飛び魚は屋久島の名物らしく、一度食べてみたかったのだ。


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まさしく飛び魚だー!この羽根みたいな大きなヒレが飛び魚っぽい。飛び魚大きいし、これで800円は安いなあ。


早速飛び魚を一口。あ、美味しい!身がふんわり、味はあっさりしててホッケに似てるかも。


地元の人と一緒にテレビを見ながら飛び魚をつついていると、何だか屋久島に来た実感が湧いてきた。1日目にしてちょっと屋久島満喫してるかも。


宿に帰り、お風呂に入って早々に寝る準備をする。明日は4時半に起きて、5時19分のバスに乗らなくちゃ。いよいよ縄文杉にチャレンジだ。次の日も雨っぽくて天候が心配だけど、何とかなるでしょ。


安房港の波の音を聞きながら、いつの間にか眠った。さて明日はどうなることやら。




弥仙山に登ってみた

いよいよ迫ってきた屋久島行きに向けて、一人で山登りにチャレンジすることにした。今まではハイキングのサークルでしか山には登ったことがなかったから、一人で登るのはほとんど初チャレンジだ。


どこの山にしようかなーと、図書館から借りてきた本を眺めてみた。あ、ここにしよっと。


山の名前は弥仙山。何だかとても優美な名前だ。関西百名山にも選ばれていて、丹波富士とも言われる美しい姿をしているらしい。


また、修験道の山としても有名で、役小角や行基といった有名な人も修行したことがあるらしい。むむ、何だかすごいぞ弥仙山!


でも、この山を選んだ何よりの理由はある伝説が伝わっているからだ。

それは・・・


弥仙山は近くの青葉山と背比べの競争をしていた。弥仙山は青葉山よりも少し低いのが悔しくて、ある晩、麓の村に住んでいた太郎兵衛の夢に現れて、青葉山よりも高くなりたいので、山頂に石を積んでくれと頼んだ。太郎兵衛は村人と相談して、年に四回、季節ごとに山頂に石を積むことにした。


という伝説があるのだ。今でも弥仙山に登る人は麓の河原の石を持って登り、山頂に積んでいるみたい。石を積んで山頂の神社でお参りすると願いがかなうという話もあるみたいで、ちょっと楽しい。


俺も山頂に石を積みたいー!というわけで、弥仙山にれっつごー!


弥仙山は京都にある。かなり奥まったところにあって、細い道を車で行くと昔話にでも出てきそうな家々が並んでいる。


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やがて弥仙山が見えた。弥仙山は名前の通り、とても美しい形をした山だ。


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さて、登山口まで来た。車を駐車場に停めて歩き始めると、草むらから「ガサガサッ」と音がする。鹿!?猪!?とかなりドキドキするが、何も出ず。のっけからびびらせんといてくれー!


気持ちを切り替えて再スタートしようとふと道を見た。小さな生き物が歓迎?してくれてた。よく見ると可愛いな、こいつw


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しばらく行くと水分神社に着いた。この水分神社は弥仙山の麓にあり、中腹と山頂にもそれぞれ神社があるらしい。まずはこの水分神社で登山の無事をお祈りする。

 

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さあ、いよいよ山登りだ!道の脇には小川が流れていて、水の音が心地いい。


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道はなだらかだし、緑も綺麗だし、気持ちいいなあ。と思ったのもつかの間、舗装されていた道からいきなり砂利道になり、険しい感じに。むむっ、来たなー! 

 

山道を少し行くと、今度は石の階段が現れた。苔むしていて何だかいい風情だなあ、この階段。


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だけど風情と辛さは全く関係がなく、延々と続く階段に汗が流れる。階段を登り切った先には、二つ目の神社、於成神社があった。


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於成神社の脇を抜けて、また山を登って行く。道の所々に水が飲めるように整備されている場所がある。地元の人の好意なのか、コップも用意されているのが嬉しい。水はとても澄んでいて、美味しい。


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山頂に向かう道には大きな岩があり、その大きさに圧倒される。


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途中には滝もあって、昔の人たちが修行した気配があちらこちらに感じられる。ここは本当に神域なんだなあ。


最後の坂をひと頑張りして登り切ると、ようやく山頂に出た。山頂には三つ目の神社、金峰神社がある。


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その金峰神社の本殿の横には、今まで登ってきた人たちが積み上げた数多くの石があった。


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僕も麓で拾った小さな石を置かせてもらった。みんなのいろいろな気持ちが積まれているんだなあと思うと、僕も温かい気持ちになった。


最後に金峰神社でお参りをした。振り返ると向こうの山々の景色がわずかに見えた。


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登ってみて、弥仙山は修験者の人たちだけでなく、地元の人や登山をする人々に愛された山だということがよく分かった。


初めて登ったのがこの弥仙山で良かった。またいつかこの弥仙山に登りたい。そしてまた一つ山頂に石を積み上げたいと心から思った。



今年の夏は屋久島

今週のお題「夏支度」

僕は今年の夏、屋久島旅行に行く。でも、なぜ屋久島に行くのか?と言われると、答えるのが中々難しい。


登山口から往復10時間かかるという屋久島の縄文杉を見に行く事で、達成感を得たいから、と言うのが最もそれらしい理由かも。


でも、それは後付けの理由だ。たぶん僕は今年の夏、ただ何となく縄文杉を見に行きたくなったのだ。


全く何も準備もしてないうちに飛行機と宿を取ったから、後で見に行くことが大変なのを知り、とても慌てた。


朝は6時に登山口を出発し、5時間かけて縄文杉を見に行き、また5時間かけて帰ってくる。往復22キロ。暗くなる前に登山口まで帰ってこなくてはならない。


これまで山登りなんて全くやった事がなく、運動不足も甚だしい僕が行けるなんて、さすがに思わなかった。でも、飛行機と宿はもう取ってしまった。後戻りはできない。


ハイキングのサークルなどでいろいろ教えてもらいながら、低い山に何度か登って体力作りをしたけれど、10時間歩き通せるか、正直とても不安だ。


縄文杉を見に行く時、初心者は現地のガイドの人に連れて行ってもらうのが普通らしいけれど、僕は今回一人で行こうと思っている。縄文杉を目指す人は多いし、大丈夫とは聞いたけれど、それもちょっと不安だ。


だけど、一人で自分と対話しながら、縄文杉を目指したい。やり切ったことで何があるのかもわからないけれど、僕はこの夏、縄文杉を目指すことに決めたのだ。


今年の僕の夏支度。屋久島に行く日まであと少し。